睡眠時無呼吸症候群の検査をしてみませんか?
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は睡眠中に断続的(無呼吸が1時間に5回以上繰り返される)に無呼吸(10秒以上の呼吸停止)を繰り返し、その結果、日中傾眠などの症状を呈する疾患の総称です。主に生活習慣病や高血圧、心疾患、糖尿病、脳卒中などと密接に関連しており、放置すると生命の危機に及ぶこともあるといわれています。また睡眠時無呼吸症候群特有の眠気は交通事故を起こす危険性もあり、潜在患者さんは全国民の200万人超といわれています。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸は、上気道(空気の通り道)が閉塞することにより起こります。閉塞の原因は、首周りの脂肪の沈着、扁桃肥大、アデノイド、気道へ舌が落ち込む、鼻が曲がっているなどがあげられます。また、欧米人の睡眠時無呼吸症候群は患者さんが肥満している人がほとんどですが、日本人など東アジア系の人間ではやせていてもアゴが小さいなどの顔の特徴から、気道がふさがれやすく、やせているのに睡眠時無呼吸症候群である方もいらっしゃいます。睡眠時無呼吸症候群の患者さん全員が太っていると思うのは間違いです。
睡眠時無呼吸症候群の合併症
睡眠時無呼吸症候群による睡眠中の低酸素血症や高炭酸ガス血症は、肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病と密接な関係があり、様々な合併症を高率に引き起こすことが報告されています。合併症は多岐にわたり、高血圧、多血症、不整脈、虚血性心疾患、心不全、脳血管障害、糖尿病、肺高血圧症、インポテンツなどが代表的なものとして上げられます。
米国の調査では、健常人と比べSAS患者さんでは高血圧は2倍、虚血性心疾患は3倍、脳血管疾患は4倍、糖尿病は1.5倍発症する可能性が高いと報告されています。
実際、1時間あたりの無呼吸が20回以上に達するような中等症~重症の人の場合は、寿命が短くなり、発症から7~8年後に2割から3割の人が死亡すると報告され、その死亡原因の多くが、心筋梗塞や脳梗塞です。
いびき 起床時の頭痛 日中の眠気や倦怠感
睡眠時無呼吸症候群の検査
夜間の睡眠時の状態を自宅にて検査させていただきます。睡眠時に携帯用睡眠時無呼吸検査装置を胸部に装着し、一晩の睡眠を通して計測を行います。指先にセンサーを装着し、呼吸・呼吸努力・いびき・SpO2・脈拍数・体位・体動と7項目を測定し、睡眠中の無呼吸を検査します。(携帯用睡眠時無呼吸検査装置の装着方法はクリニック内でビデオ講座を受けていただきます)
睡眠時無呼吸症候群の治療方法
睡眠時無呼吸症候群の治療法の中で最も有効性が高く安全かつ確実な方法がCPAP療法です。睡眠中に鼻マスクを装着し、鼻マスクから空気が一定圧で送り込まれ、睡眠中に緩んだ喉の筋肉によって喉が塞がってしまうのを防ぎます。送られてくるのは、酸素ではなく空気です。
重症の患者さんの場合は虚血性心臓病や脳血管障害による死亡のリスクを軽減することができると報告されています。治療効果は、翌朝から劇的な効果を実感できる場合もありますが、そうでなくても徐々に効果を体感できる方が多いです。導入当初のマスクや、空気圧の違和感などは、個人差がありますが、たとえ当初違和感が強くても徐々に慣れてしまうことが多いです。- POSTED at 2015年08月07日 (金)