平成23年12月に森町家庭医療クリニックが開院して以来、10年が経過しました。
私たち家庭医は、家庭医療学という学問を通して、目の前の患者さんとその家族、そして地域全体の健康維持・健康増進を目標に、日々の診療を行っています。
かかりつけ医をもつことの必要性がいわれる今日、包括的かつ継続的なケアを提供できるかかりつけ医(家庭医)でいることを重要視しています。
当クリニックへ受診される方々は、様々な健康に対する不安を抱えていらっしゃいます。
私たちは、各臓器の疾患だけではなく、患者さん一人一人の受診に至るまでの物語(文脈)を加味したケアを提供するよう心掛けています。
ある疾患に対して専門的な知識・治療経験が必要な場合は、その領域の専門医へ適切に紹介を行いますが、それ以外の健康問題については、患者さんと相談しながら優先順位をつけて整理し、継続的に健康の支援を行っていきます。
専門医への紹介後も、どのような検査を行い、どんな診断名・治療方法に至ったのかを、かかりつけ医として把握するようにしています。
従来の日本医療は、調子が悪くなったら受診し診断・治療を行う、という「治療医学」が主流でしたが、疾患の予防をおこなう「予防医学」がより重要であるため、受診の機会を利用して予防医学の提供を行っています。
そのため、来院した理由とは直接関係が無さそうな話でも、健康維持・増進のために重要と思われることについて話をすることがあります。
これらには、予防接種、がん検診、栄養摂取、身体活動、ストレスへの適応方法、事故予防など幅広い内容が含まれます。
また、健康は、家族からの影響も受けます。
そのため、目の前の患者さんはもちろんですが、家族の健康に対する考えや健康状態についても、私達は着目しています。
疾病罹患からの回復や健康の維持を促進するために、ご家族の健康状態についてもお聞きしています。
さらに2,3歩下がって広い視野から健康を考えると、居住地域の活動や人とのつながり、地域の環境や文化などが、健康に影響を及ぼしていることがあります。
森町の皆さまから、森町の歴史やイベント(祭!)、住民活動などを教えて頂けると、健康に関する新たな視点が得られます。
私たちも、森町の地域活動に積極的に参加していきたいと考えています。
私たちは、家庭医療を実践していく中で、森町の文化を大切にした地域医療に貢献していきたいと思っております。
どうぞ、今後とも皆さまのご理解とご支援を宜しくお願い致します。
所長 棚橋 信子