こんにちは、医師のNです。
演劇を始めたのは小学1年生の頃でした。
読書嫌いな僕は作品のメッセージ性を深く考えることはできず、流れに合わせてただ演技をするだけでした。
小学5年生の頃、公演会について感想を一言述べなさいと急に指名され、涙を浮かべながら、
声を絞るように10文字程度の感想を言った後、
演出家の先生から
「自分の言葉で少しずつ言えるようになってきたね」
と言われたことを鮮明に覚えています。
演技以外のことについて言われたのでびっくりしたのかもしれません。
演劇を始め(させられ)たのは、表現力を身に着けてほしいとの親の気持ちからだったことを、約30年経ったいま、演出家の先生から初めて知らされました。
親はミーハー好きだからと思い込んでいた僕は、驚きを隠せずにはいられませんでした。
このとき、鮮明に覚えていたあの一場面と「表現力」のキーワードが線で結びついたのです。
その劇団が、こども達のための3日間の体験学校を立ち上げました。
こども達が集団で、芸術や暮らしの体験を通して、からだとこころが自然と動くような活動が詰まっており
「観る力」「観察する力」「感じ取る力」「表現する力」「相手役と交流する力」
「それぞれが役割をになう」「人と協力する」「折り合いをつける」
「イメージする」「予測して考え行動する」「みんなで味わう」
などを目標として掲げています。
様々なモノが充実し、相手と対峙し、会話を通して交流し、
感動や感情を共有するような機会が少なくなっている現在、
支え合ってこそ生きていける人間にとって重要なスキルを教えてくれる体験のように思います。
観察力、共感力、表現力…
磨けば磨くほど奥が深く、そして、心の底から人を突き動かす不思議な力があるのかもしれません。
このままタイムスリップして、もう一度、演劇に再チャレンジできるとしたら、
もっと様々な力が身に付いたのだろうか…。
公演本番の開始直前に、セリフを全く覚えていなくて冷や汗を掻く夢を今でも見ることがありますが…(苦笑)。
(医師N)